亡くなった人から遺産を相続した際に、相続人が複数いた場合には、それらの人々の共有財産という扱いになります。
しかし、たとえば土地や建物、自動車などといったものは、現金とは違って容易に人数分にわけることが難しいため、共有名義では不都合が生じることになります。こうした場合、誰がどのような財産を取得するのかを、全員で話し合いをして、その合意にもとづいた遺産の分割を行うというのが一般的です。
これを遺産分割協議とよび、合意した内容を記載したものが、遺産分割協議書とよばれる書面となります。この協議書には、内容がたしかであることを証明するため、協議にあつまった全員が署名捺印をするのがふつうです。
また、この書面は、不動産や自動車の名義を変更する際にも、証拠書類として官公署に提出する必要があるため、特に法律的な手続き上も重要なものといえます。
なお、実際に提出するにあたっては、相続人の印鑑登録証明書などといった証拠書類が別に必要になることがあります。
相続というものは、必然的に財産がかかわるものですので、その分割をめぐって、なにかと親族や家族同士のトラブルに発展しやすいという傾向を有しています。
特に、亡くなった人の財産を親族の誰かが一括管理しており、他の相続人にはその状況がよくわからない場合や、亡くなった人の介護を献身的につとめた家族がいたいっぽうで、特にめんどうもみずに遠くで生活していた家族がいるなど、亡くなった人との間柄に落差がある場合などは、こうしたトラブルが顕在化しやすいといえます。
こうした場合には、当事者同士で直接的に遺産分割協議を行うと、円満解決どころか、対立がかえって深まってしまう可能性がありますので、家庭裁判所による調停制度を利用するというのもひとつの方法です。
調停制度というのは、当事者の申立てによって、裁判所から選任された調停委員とよばれる人々が、当事者のなかだちをしたり、意見の調整をしたりして、トラブルの円満解決を目指すという制度であり、申立ての手続きもきわめて簡単なものです。
2022/9/28 更新